子どもが安心して学び・育つためには
9~10月は、教育・不登校プレフォーラム、先生たちとの勉強会、そして教育・不登校フォーラムとイベントが続きました。
プレフォーラムやフォーラムにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
またスタッフとして、登壇者として協力してくれたつばさの生徒さんや卒業生、お疲れさまでした。
今回のプレフォーラム、フォーラムは昨年度に続き、2回目の開催でした。
昨年度も充実した内容でしたが、今年度はNPOフォーユー研究会を設立したこともあり、ネットワークづくりを活かせたことが、進化した点と感じました。
全国フリースクールネットワークや吉川市内の「学校を行かない子を持つ親の会」、他のNPO団体、吉川市や越谷市の市民活動サポートセンター、よしよしネットとの情報交換、交流が始まっています。
また勉強会で近隣の学校の先生や親の会の幹事さんと、立場を超えてお話する勉強会をスタートしたことも重要な意味があると思います(勉強会は今後も継続的に開催されていくことになりました)。
「子どもが安心して学び・育つために、今私たちができることは・・・」というのが今回のフォーラムのテーマでした。
そのためには、保護者や学校の先生、フリースクール職員だけでなく、地域ぐるみ、社会全体で、安心して育つ環境を創っていくことが大切だと思います。
プレフォーラムの時に、飛鳥井先生が大小のくまのぬいぐるみを抱えて登場しました。
最初、これはいったいなんだろう?と思いましたが、飛鳥井先生は保護者と子どもの立ち位置をくまの親子を使って、プレゼンしてくれました。
子どもの前に立って向かい合わせになるのではなく、横に、あるいは少し後ろに立つこと・・それが子どもが安心して育つために必要だと。
また富山大学の高山龍太郎氏の「不登校の子どもたちの”居場所”における四局面」についてもお話が及びました。
4つの局面を子どもは螺旋状に上がっていき、その局面に応じて、スタッフの役割も変わっていくというのが興味深く感じました。
第1局面では、暗くて目が合わせられないかもしれない。そのありのままの現実を認める。スタッフの役割は「守護者、カウンセラー」。声かけとしては「大丈夫だよ」「それでいいよ」「よく来てくれたね」。
居場所ができたと感じたら、ちょっと外出できる、スタッフと話せるという第2局面に進む。そこでのスタッフの関わりは「ガキ大将」。「一緒に遊ぶ」「行ってみよう」という関わり。
その後の第3局面では、「助言者、評価者」として「いいね!」という関わり。
成功体験を重ねて第4局面に進むと、スタッフは「仲間、同志」として「一緒に考えてみよう」という関わり。ここまで来ると、子どもは周りを巻き込む活動もできるようになる。
ざっくりまとめると、こんなステップを踏んでいくようです。
どの局面でも大切なのは、「子どもは、自ら動き出す力を内在している」という子ども観(信念)を持っていること。子どもを無理やり指導・コントロールせずに、子どもの自発的な動き出しやその兆候を待つことです。
子どもたちのありのままをまずは認め、動き出すのを見守るかかわりが必要ですが、お子さんと一番距離の近い保護者、とくにお母さんにとっては、わかっていても難しいということがあると思います。
私たち大人は不安や判断から、子どもをコントロールしたくなりがちです。それも、子どもへの愛情から来ているのですが・・。
お母さんがひとりで抱えないで、親の会に参加されたり、つばさのスタッフにお話されたり、ご自身を楽にし、ご自分をそのまま認めることも、お子さんを見守る上で必要だと私は感じます。
子育ちサロン in 吉川も、お母さんたちが安心して悩みを話してスッキリしたり、話しているうちに違う角度から物事を見られるようになったり・・そんな場を目指しています。
今週木曜日に第2回子育ちサロンをおあしすで開催します。ぜひ気楽にご参加ください。
(詳細は9月27日更新のブログをご覧下さい)
最後に「教育研究10月 特集 やり抜く力を育てる」から、教育コーチング開発者である小山英樹氏の言葉をご紹介します。
安心感が行動変容や行動継続のエネルギーになる。「やらないと大変なことになる」という恐怖感・危機感を煽って行動を喚起しようとする大人が少なくないが、実は人が主体的に「やり抜く」ためには「僕は大丈夫」「私には支援者がいる」「自分は自分でok」という安心感が必要なのだ。
その安心感は自己肯定感にもつながり、挫折しそうな時に発現する「リジリエンス」の糧となる。
(教育研究 平成29年10月号16ページ)
子どもたちが恐怖感からではなく、安心感から動き出すのを待ち、認める
・・そんな大人でありたいです。 田村